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【気象と気候変動の関連性連載②】歴史上一番暑い夏がやってくる

【気象と気候変動の関連性連載②】歴史上一番暑い夏がやってくる

化石燃料が経済繁栄の鍵であるという考え方が、中国をはじめとする世界各地で記録的な高温を引き起こしている。

翻訳:https://coveringclimatenow.org/climate-beat-story/the-heat-will-come-and-come/

中国・重慶市で気温が37度に達する中、防護服で日よけをする女性。(Photo by He Penglei via Getty Images)

中国に猛暑がやってきた。北京では先週、3日間にわたって摂氏40度(華氏104度)を超える日が続いた。中国北部の穀倉地帯である山東省では、熱中症警報が発令された。化石燃料の継続的な燃焼は、温室効果ガスの年間排出量世界一である中国(歴史的な排出量のトップは米国だが)の繁栄に不可欠であると見なされがちだ。しかしこの猛暑が、化石燃料を燃やし続けることは、中国だけでなく世界中の経済と人類の幸福をいかに脅かしているかを物語っている。

近年と同様、記録的な暑さが再び北半球の大部分を苦しめている。World Weather Attributionによると、4月以降、インド、バングラデシュ、タイ、ラオスで気温が40度を超え、地球温暖化がなければ「事実上不可能」だった記録的な暑さが続いている。
一方、アメリカ南部は、気候変動によって5倍も可能性が高まった暑さに覆われている。このような事態を、エルニーニョのせいだと思わないでほしい。地球温暖化は世界中の基準気温を上昇させた。エルニーニョはあくまで、人為的な気候変動が暑くさせた地球を、より暑くさせる最後のひとおしに過ぎない。

この記録的な暑さが人体にとって安全な限度を超える恐れがある中、ジャーナリストたちは医療関係者に医療への備えについて、取材する準備が必要だ。2010年、研究者たちは、湿度50%で46度、もしくは湿度100%で35度になると、人体はもはや自らを冷やすことができなくなり、安定した体芯温を維持できなくなることを発見した。(さらに最近の研究では、その上限はもっと低いことがわかった。)今夏の熱波が多くの地域を危険な領域へと突き落とした今、ジャーナリストは、このような気候の上昇が医療インフラ、特に病院へのアクセスが制限されているような地方にどのような圧迫を与えているかを調査し、読者に安全な生活を送る方法について注意喚起する必要がある。

エアコンは当然熱波時の安全対策であるが、エアコンは同時に地球温暖化を進行させる脅威でもある。それが太陽光発電やゼロ・カーボン・エネルギー源で動いていない場合はなおさら。これはエネルギー担当記者にうってつけの記事である。世界の気温が上昇し続ける中、人々の生命を維持するためにより多くのエネルギーが必要になることは明らかだ。そしてそのエネルギーは、さらに地球を破壊するものでなく、安全な環境と両立できるエネルギー源から供給される必要があることを、ジャーナリストたちは読者に伝えなければならない。

Guardian紙が報じたエネルギー研究所の最新レポートによると、気温上昇を1.5℃に抑えるために、世界が年間7%の排出量削減を必要としているなか、代わりに2022年の排出量は約1%増加した。化石燃料の消費拡大を正当化するために経済の繁栄が利用されている。ニュース報道は、気候変動が人的被害はもちろんのこと、経済の縮小をも引き起こす可能性があることを視聴者に思い出させるべきである。

点と点をつなげよう:人類が化石燃料の燃焼を止めない限り、この猛暑はいつまでもやってくる。