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【CCNow翻訳記事】イラン戦争は気候戦争でもある

【CCNow翻訳記事】イラン戦争は気候戦争でもある

化石燃料は現代の戦争に構造的に深く根ざしている

CCNow原文: https://coveringclimatenow.org/from-us-story/the-iran-war-is-also-a-climate-war/


戦争は多くの点で気候変動を悪化させ、その逆もまた然りである。米国とイスラエルによるイランへの攻撃がもたらした人的被害――シャジャレ・タイベ小学校で殺害されたと報じられている175人の少女や教師を含む、数百人の死者――は悲劇だ。サプライチェーンの混乱、エネルギー価格の高騰、株式市場の動揺といった高まる経済的リスクは不吉な兆しだ。核保有国2カ国によって仕掛けられたこの「選択的な戦争」がさらにエスカレートし、地域内外の諸大国を巻き込む危険性は憂慮すべきものである。そして、こうした懸念のすべてに共通して横たわっているのは、現代の戦争が気候変動と不可分につながっているという事実である。

この相互関係は双方向で作用している。戦争は地球温暖化を招く膨大な量の温室効果ガスを放出する。例えば、ロシアによるウクライナ侵攻は、フランスの年間排出量に匹敵する量の排出を生み出した。こうした追加的な排出は、より深刻な熱波、干ばつ、暴風雨などの影響を招き、人々の生計を破壊し、経済を不安定化させ、移住を促すことで、武力紛争の発生確率を高めている。英国の諜報機関であるMI5とMI6は1月、気候変動と生物多様性の喪失が放置されれば、「作物の不作、自然災害の激化、感染症の流行…を引き起こし、既存の紛争を悪化させ、新たな紛争を引き起こし、世界の安全保障と繁栄を脅かす」と警告した

いかなる戦争の勃発も、気候変動対策に敵対的な政治家が選出されるのと同様に、気候にとっては悪いニュースである。この新たな戦争が気候に及ぼす影響は、現時点では注目の的ではないが、何が危機に瀕しているのかを理解するための不可欠な背景情報である。文明が取り返しのつかない気候崩壊へと突き進んでいる今、地球上で最も殺傷力の高い3つの軍隊が戦争に突入することの気候への影響を見過ごすことは、ジャーナリズムとしての不作為に他ならない。

しかし、戦争には、気候変動に関する報道をニュースの優先順位から押し下げてしまうという逆説的な効果がある。ニュースメディアは出来事に左右され、突発的な展開や差し迫った脅威を優先する。そして戦争は、強力な映像や劇的な物語を生み出し、それらが(少なくとも戦争の初期段階においては)人々のニュースへの関心を煽るのだ。対照的に、気候変動は通常、より長い時間軸で進行する。ハリケーンや山火事のような深刻な災害時を除けば、気候変動に関する報道には、見出しを飾り、視聴者の関心を高めるような切迫感が欠けている傾向がある。

これは石油をめぐる戦争なのだろうか?イランが地球上で第3位の石油埋蔵量を保有しているという事実は、必然的にその疑問を提起する。それは、こうした埋蔵量をめぐる米国とイランの長きにわたる対立の歴史――とりわけ、その国有化を目指した民主的に選出された指導者を、CIAが打倒したという経緯を含めた歴史――が提起する疑問と同様のものである。1月に米国がベネズエラを攻撃した際、ドナルド・トランプ大統領は、同国の膨大な石油埋蔵量を掌握したいと公言した。さて、イラン攻撃の決定において石油がどの程度要因となったのかを明らかにするためには、さらなる報道が必要だ。

議論の余地がないのは、石油なしではこの戦争は遂行できないということだ。空母やジェット機、そしてそれらに必要な無数の支援システムは、膨大な量の化石燃料を消費する。オックスフォード大学のネタ・クロフォード教授が著書『ペンタゴン、気候変動、そして戦争』で指摘しているように、これが米国防総省が世界最大の温室効果ガス排出機関である理由の一つとなっている。世界各国の軍隊を合計すると、その年間カーボンフットプリントは、世界中の国々のうち3カ国を除くすべての国を上回っている

この戦争が気候危機をはじめとする多くの問題に及ぼす甚大な影響を踏まえれば、そもそもなぜ開戦に至ったのかという問いは、徹底的な検証を要するものである。とりわけ、トランプ政権が掲げた開戦理由が、目まぐるしいほどに変遷を遂げたという事実に鑑みれば、なおさらである。最初の空爆から24時間以内に、『ワシントン・ポスト』紙は、政権関係者の4人の話として、米国の情報機関の分析ではイランからの「差し迫った脅威は認められなかった」と報じた。それにもかかわらず、トランプ氏は攻撃を決断したと同紙は報じた。その背景には、イランを宿敵とみなすイスラエルと、イランの長年の地域的ライバルであり、同じく石油産出国であるサウジアラビアによる「数週間にわたる働きかけ」があったという。

多くの戦争と同様、気候変動においても、貧しい人々や罪のない人々が最も大きな犠牲を強いられている。気候変動は戦争の周辺的な問題ではなく、現代の戦争構造に深く根ざしている。気候変動という側面が核心的な事実ではなく、単なる付随的な要素として扱われてしまう限り、ジャーナリストは、これほど炭素排出量が膨大で、不安定化を招き、重大な影響を及ぼす戦争を、完全かつ公正に報道することはできない。

 


本日の「Climate Beat」は、CCNowの事務局長兼共同創設者であるマーク・ハーツガード氏と、アルジャジーラ・イングリッシュの元マネージング・ディレクターであるジャイルズ・トレンデル氏によって執筆されました。

 

◾️Covering Climate Now(CCNow)について:
Covering Climate Now(CCNow)は、Columbia Journalism Review と The Nation Magazineが、ガーディアン誌とWNYCの協力を得て共同設立した、世界60カ国500以上のメディアが参加する気候変動報道連携ネットワーク。ジャーナリストが気候危機と解決策について、より有益で魅力的な報道を作成できるよう支援している。日本ではNHKや朝日新聞などが参加し、2023年10月より一般社団法人Media is Hopeも公式パートナーとなっている。日本メディアに向けたローカライズ施策、勉強会などを実施しています。
HP: https://coveringclimatenow.org/