【開催報告】サステナブルな人材と企業のマッチングを目指す〜ミドリの社会科合宿@千葉県匝瑳市〜
「学生・社会人のニーズと企業のマッチング」を目指した合宿を開催!
気候変動の脅威が身近に迫る昨今、気候テック等の環境ビジネスは急成長を遂げており、サステナブル分野に注力する企業へ就職したいと感じる学生・社会人は少なくありません。ところが、環境ビジネスに特化した就職情報は少なく、学生や社会人が求める企業まで辿り着けない、もしくはそもそも就職の選択肢として環境ビジネスを考えることすら難しいのが現状です。
そんな現状を打破すべく、今回の企画では、定番の「就活」方法では難しかった、「学生・社会人のニーズと企業のマッチング」をサポート。
気候変動対策の研究・ビジネスなどのフィールドで活躍中の企業、実践者を講師にお招きし、気候変動対策の基礎、そして実践的な知識を「対話」を通して身につけました。
合宿の最終日には、講義を通して蓄えた知識をもとに、参加者自身にとっての理想の環境ビジネスプランを構想。プレゼンテーションの時間も設け、今回の学びを今後に活かす道筋を思い描いてもらいました!
<開催概要>
■ 日時:2024年8月26日(月)〜8月29日(木)
■ 場所:市民エネルギーちば本社 千葉県匝瑳市飯塚1037−1
■ 運営団体:【ミドリのリクルート】運営委員会(一般社団法人Media is Hope、株式会社TERRA、株式会社ソーラーシェアリング総合研究所、市民エネルギーちば株式会社)
■協賛企業:
株式会社TERRA、一般社団法人Media is Hope
■ 後援: 匝瑳市 ・匝瑳市教育委員会
■ 対象:サステナブル企業に就職、転職を考えている方
▶︎環境ビジネスに対して想い・関心はあるがその分野へ就職・転職することに悩んでいる人
▶︎頭の中で構想しているアイディアの種を、実践者との対話を通じて具体化してみたい人
▶︎これからの未来(自分と世界の未来を)を作っていくための知識を得たい人
▶︎一歩踏み出すために、座学だけでなく「実践的」な合宿に参加してみたい人
など自然生態系や社会倫理の視点など総合的に環境問題を学びたい方
■ 参加費:無料(会場までの交通費と食費は各自負担)
登壇者紹介
■東光弘氏 市民エネルギーちば㈱、㈱TERRA、㈱ソーラーシェアリング総合研究所/各代表取締役
20年ほど有機農産物・エコ雑貨の流通を通じて環境問題の普及に取り組み、2011年より地域再生型の再エネ活動に専念。ソーラーシェアリングに特化した自社発電所事業及び講演活動、各種環境プロデュース等を務める。2021年5月、海外事業や異業種との協業のため新会社『㈱TERRA』設立。
「市民エネルギーちば」の取り組みの軸でもある「ソーラーシェアリング」についてお話いただきました。アフリカ、アメリカなど世界各地から集まった参加者との対話を通して、各国でのソーラーシェアリング導入の可能性について探りました。
■齋藤雅裕氏 千葉県匝瑳市役所 ゼロカーボン推進課脱炭素推進室主査
1996年生まれ。2020年3月九州大学工学部卒業、同年4月環境省に入省。環境再生・資源循環局循環型社会推進室にて我が国循環産業の海外展開事業化促進業務、循環型社会形成推進基本計画、フードドライブ担当、2022年同省大臣官房地域脱炭素事業推進課にて脱炭素先行地域担当などを経て、2024年7月より現職。
国の脱炭素政策を進める上で欠かせない、且つエネルギー安全保障や地域活性化にも繋がる、「地域脱炭素」の重要性とインパクトについてお話をいただきました。地域の脱炭素化はゴールではなく、「地域の課題を解決する【ツール】の一つである」という言葉が印象的でした。脱炭素先行地域である匝瑳市の取り組みに関してもご紹介いただきました。
■半澤 節氏 株式会社ボーダレス・ジャパン ボーダレスアカデミー代表
新卒で同社にジョイン。貧困農家に雇用を創るオーガニックハーブ事業「AMOMA」やアパレル事業「Corva」での事業運営を経て、シリア難民に安定した仕事と居場所を創るためトルコで事業を設立。帰国後は社会起業家の立ち上がりに伴走する起業家バディを担当、同社採用人事も歴任。2021年よりソーシャルビジネススクール「ボーダレスアカデミー」の代表を務める。
社会課題を解決する「ソーシャルビジネス」とはどんなものか、ボーダレスジャパンでの実績や事例を交えてお話しいただきました。また、ソーシャルビジネス立ち上げのプロセスについて、社会起業家を育成するプロとして、通常のビジネスとソーシャルビジネスとの違いに触れながら、ワークシートを用いた実践的な講義をしていただきました。
■諏訪亜紀氏 京都女子大学 現代社会学部 現代社会学科
環境政策・再生可能エネルギー政策 2004年ロンドン大学博士課程(エネルギー政策)修了、博士。2009年〜2014年国際連合大学高等研究所リサーチフェロー。温室効果ガスの削減やアジアの大気汚染対策などの環境政策を専門とし、より実効的な技術、政策、および地域に根付かせるための制度設計に関する研究・提言を行っている。
様々な研究結果、多様な資料を用い、事実に基づいた情報から気候変動の現状やその原因について詳細な解説をいただきました。エネルギーガバナンスを構成するステークホルダーをサッカーのポジションに例えて提示するなど、問題をより身近に捉えられる工夫が凝らされ、エネルギー・環境政策について理解を深められる時間となりました。
■辻井隆行氏 Jリーグ執行役員
早稲田大学大学院社会学科学研究科(地球社会論)修士課程修了。1999年、パートタイムスタッフとしてパタゴニア東京・渋谷ストアに勤務。鎌倉ストア、マーケティング部門、卸売り部門を経て、2009年から2019年まで日本支社長。2019年秋、日本支社長を退任。その後、自然と親しむ生活を送りながら、社会活動家/ソーシャルビジネスコンサルタントとして、企業やNPOのビジョン・戦略策定を手伝う。現在はJリーグで執行役員として、サステナビリティ部を担当。
スポーツ界に及ぶ気候変動の影響、そしてサッカー業界の気候変動に関する動向について、実例に触れながらお話いただきました。Jリーグは地域に密着した存在だからこそ、これからの未来、世の中を変えていくことができる。「サッカーファミリーと共にポジティブなインパクトを」という言葉が印象的でした。
■小松篤史氏 経済産業省 資源エネルギー庁 新エネルギー課 課長補佐
長野県出身。2016年4月、経済産業省に入省。資源エネルギー庁総合政策課戦略企画室、同新エネルギー課、産業技術環境局環境政策課で、エネルギー・環境政策の企画立案に携わる。2023年5月より現職。再生可能エネルギーの導入拡大を進め、責任ある主力電源として、50年、100年と社会に根付かせていくための制度設計(再エネ特措法など)を担当。
再生可能エネルギーに関する動向を、国の制度や政策に紐づけて丁寧に解説いただきました。各国の電源構成や太陽光発電設備容量の比較から、日本の現状を具体的な数値で捉えることができる講義でした。そして、政府としても着目しているペロブスカイト太陽電池について、今後の導入策や社会実装に向けた政府の動きについてご説明いただきました。
■篠健司氏 パタゴニア日本支社 環境社会部ブランド レスポンシビリティ・マネージャー
1988年同社に入社。広報、店舗運営、物流部門を経て2004年より環境担当として助成金等を通じた環境団体の支援等を担当。その他に、売上の1%を環境団体に寄付することを誓約した企業ネットワーク「1% FOR THE PLANET」日本窓口、アウトドア産業の自然保護基金「コンサベーション・アライアンス・ジャパン」の運営に参加。公益社団法人日本自然保護協会理事。
B Corp認証とパタゴニアの取組み、2つのテーマについてご講義いただきました。企業から注目が集まっているB Corpの全体像について詳細にお話いただいた後、パタゴニアの歴史と大切にしている価値観について、動画とともにご紹介いただきました。世界的に求められている企業としての社会貢献に、「制度」「実践」それぞれの視点から向き合いました。
■堅達京子氏 NHKエグゼクティブプロデューサー
早稲田大学・ソルボンヌ大学留学を経て、1988年、NHK入局。NHK環境キャンペーンの責任者を務め、気候変動をテーマに、NHKスペシャル「2030 未来への分岐点」をはじめとした数多くの番組を制作。日本環境ジャーナリストの会副会長。近著に「脱炭素革命への挑戦世界の潮流と日本の課題」(山と溪谷社)他多数。
報道番組のディレクターとして気候変動報道に携わられてきたご経験、そしてCOP(気候変動枠組条約締約国会議)などの取材の様子についても、現場の臨場感とともにお話いただきました。気候変動報道を活性化していくポイントについて、メディアとして発信を続けられているからこそのお話も伺うことができ、貴重な時間となりました。
■花田英司氏 京セラコミュニケーションシステム株式会社
1985年3月京都大学農学部卒業、同年4月京セラ入社。1995年に現在の京セラコミュニケーションシステムに転籍後、研究部門、新規事業開発部門、営業部門を経て、管理本部長時代には修身思想を基にした人材育成に注力。2023年9月より営農パートナーシップ推進マネージャー。「社会課題の解決」を人生のテーマに据え「公共心の結集による共生的なパートナーシップを創る」活動を展開中。
環境問題の解決策として有用視されるソーラーシェアリング事業について、自社での取り組みとその背景、今後の期待についてお話しいただきました。「誰一人取り残さない社会」「できるだけ多くの仲間とともに、継続的に働きかけていく」などのキーワードも交えた、これからの日本をより良くしたいという花田さんの真摯な想いが伝わってくる講義でした。
■一般社団法人Media is Hope
気候変動を解決できる社会を実現するために、気候変動報道強化に繋がるさまざまなサポートを行う。「メディアをつくる側もえらぶ側もお互いに責任を持ち、公平で公正かつ自由なメディアと持続可能な社会の構築」をビジョンに掲げ、気候変動の本質的な解決を目指して、メディアや市民、企業やあらゆるステークホルダーが共創関係を築く架け橋となる。
9/22(日)再生可能エネルギーを楽しく学べるイベント【みんなでつくろう再エネの日!2024】開催。
*詳細リンクはこちら→https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000013.000128060.html
世界各国から集まった参加者と、自国での気候変動報道の現状と課題について共有を行いました。その後「こんな報道、あったらいいな」を想像するワークを実施。自国の課題を踏まえ、現状の打開策となり得る報道の方法について妄想を膨らませました。各国での気候変動報道はそれぞれの国の情勢を反映しており、国により情報の格差があることを実感する機会ともなりました。
*今回の合宿は、サステナブルな人材×企業の幸福なマッチングをサポートする「ミドリのリクルートプロジェクト」キックオフイベントとして開催しました。今後ブラッシュアップを重ねて継続的に開催することで、より大きな拡がりのあるビジネスマッチングプロジェクトに育てていく予定です。
問い合わせ先:
contact@media-is-hope.org(一般社団法人Media is Hope キャンペーナー 渡辺倫咲葵)