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バイデンの撤退とメディアのダブルスタンダード(CCNow翻訳記事)

バイデンの撤退とメディアのダブルスタンダード(CCNow翻訳記事)

The White House in Washington, D.C. (Photo by Aaron Kittredge)

Medis is Hopeでは、気候変動とメディアにまつわる、まだ日本での情報が少ない記事を日本語訳しています。
こちらは、バイデン大統領の選挙撤退に、メディアがどのように影響を与えたかという記事です。
是非ご一読ください。

カマラ・ハリスに注目が集まるなか、ドナルド・トランプの地球を焼き尽くす計画も、同様に精査されるだろうか?

CCNow翻訳記事
https://coveringclimatenow.org/from-us-story/bidens-exit-and-a-media-double-standard/#

ジョー・バイデン氏が米国大統領選から撤退したことで日曜日に頂点に達した政治的熱狂は、6月27日のドナルド・トランプ氏との討論会の直後に勃発した。候補者たちが舞台を去ってからわずか12時間後、ニューヨーク・タイムズの編集委員会は「国家に奉仕するため、バイデン大統領は選挙戦から撤退すべきだ」と宣言した。編集委員会は、トランプ大統領の再選が民主主義に重大な危険を及ぼし、バイデン氏が11月にトランプ氏に打ち勝てるかどうか疑問があるため、この前例のない措置を取ったと説明した。

その後に続いた容赦ないニュース報道の集中砲火は、世論を形成するメディアの能力を顕著に示すものだった。従来型メディアの存在意義を疑問視する声もあるなか、この画期的な瞬間は、従来型メディアが依然として政治の持つ最大の力のひとつ:つまり何が話題に上がり、何が上がらないのかを決定する力、を行使していることを思い起こさせるものとなった。

タイムズ紙が社説を掲載した翌日、”話題になっていないことは、話題になっていることと同じくらい重要なときがある。”とフィラデルフィア・インクワイアラー紙は指摘した。タイムズ紙の事実上のダブルスタンダードを非難する形で、インクワイアラー紙は、見出しをタイムズ紙と一字一句同じにした記事、ただしバイデン氏の名前をトランプ氏に置き換えて、掲載した: 「国に奉仕するため、ドナルド・トランプは大統領選から撤退すべきだ」トランプ氏の討論会でのパフォーマンスは、「いつも通り、嘘、誇張、偏見、無知、恐怖を煽る大げさな羅列」であり、「彼は民主主義にとって危険であり、大統領にふさわしくない人物であることを改めて証明した」とインクワイアラー紙は書いている。

報道機関は、自らが放つスポットライトの力を再発見した今、その強さを再び強調する必要がある。トランプ氏自身の適格性についてだけでなく、特に、私たちが直面している気候危機にも焦点を当てる必要がある。

科学は明確である。今後4年間における気候変動への最優先課題は、化石燃料の燃焼を速やかに段階的に停止することである。誇り高き気候否定論者であるトランプ氏は、これとまさに正反対のことを行おうとしている。彼は自身が言った「ドリル(掘れ)、ベイビー、ドリル(掘れ)」ができるよう、初日から独裁者になることを公言している。トランプ第一政権の顧問ら30人以上によって作成された「プロジェクト2025」プラットフォームは、この地球を焼き尽くすようなビジョンをどのように政策に反映させるかについて概説しており、ウォール・ストリート・ジャーナル紙は、「石油王たちのメガ富裕層同好会」がトランプ氏に「期待している」と報じた。

このアプローチはこれ以上ないほどに危険だ。また、この対照は、トランプ大統領のほぼ確実な対抗馬であるカマラ・ハリス副大統領と比べても明らかだ。ハリス氏は司法長官やカリフォルニア州の上院議員時代から、気候変動の正義を声高に訴えてきた人物である。2019年の大統領候補だったハリス氏は、2045年までに化石燃料を段階的に廃止することを提唱していた(ただし、2024年の候補者としては、バイデン政権がトランプ政権よりも多くの新規石油・ガスライセンスを承認した理由を説明しなければならないだろう)。

特に選挙の年には、国民の議論を形作るメディアの素晴らしい力と同様に、素晴らしい責任が伴う。ジョー・バイデン氏が2期目に勝つには年を取りすぎていたかどうかは、確かに注目に値する問題だ。そして地球がすでに火の海になっている今、ドナルド・トランプに気候政策を任せられるかどうかも同様に注目に値する。

◆◆◆Covering Climate Now(CCNow)について◆◆◆

2019 年にColumbia Journalism ReviewとThe Nation magazine が、ガーディアン紙とWNYCの協力を得て共同設立。世界50カ国500以上のメディアが参加する気候変動報道連携ネットワークで、数十億の人々にリーチしており、CCNowはジャーナリストが気候危機とその潜在的な解決策についてより有益で魅力的な報道を作成できるよう支援しています。日本ではNHKや朝日新聞などが参加、2023年10月より一般社団法人Media is Hopeも公式パートナーとなっている。https://coveringclimatenow.org/